65 :BRコミック読み組@まいぺーす
では、前スレ718からスタート。


しばらくして、狙い通り長井を巻き添えにする事に成功した田中は、長井にハ
ーレーの運転をさせて数時間、島で一番眺めの良い高台にたどり着いた。
「すげー」
長井よりも先にハーレーから降りた田中は、妙に感心した顔でやっぱハーレー
すげー早えーわ。と、言った。
「乗ってる方はそりゃそーでしょうよ」
と、いいながらも、田中より遅れてハーレーから降りた。
その時の長井は、女の件をネタにされ、田中の運転手代わりにさせられている
この状況下を、この状況下だから仕方ない。と、一応納得しているもの
の、ハーレーに乗れたとのんきに喜んでいる田中の様子を見て『アホか』と、
その時点でかなり呆れていたのだ。
「人乗せて運転さすのって、結構来るんですよ」
「わりー、本とこれ乗るのには足届かないから、ほんとわりーわ」
「それはともかく、これから先どうしましょうね」
「取りあえず、光に追いつく選択肢は今んとこ4つだな」
と、田中は一度言葉を切ると、長井になるべく分かりやすいように選択肢を説
明し始めた。
66 :BRコミック読み組@まいぺーす
その説明は、箇条書きにすると以下の4つの通りである。

1,直接太田を追いかける
2,ジンジャーを使って真っ直ぐ太田を追いかけているであろう、原田を追い
かけ、更に原田が太田を捉えた瞬間を狙って追いかける。
3,太田が追いかけているであろうダウンタウン松本を追いかけ、太田が松本
を捉えた瞬間を狙う。
4,太田を追いかけているであろう、立川談志師匠を捜してから一緒に太田を
追いかける。
67 :BRコミック読み組@まいぺーす
しばらくして、選択肢を全て言い終えた田中は先に地面に座わり、更に長井に
も話が長くなるからと、早く地面に座るように促すと、地面に座った長井は、
田中が広げた地図を見ながら、うーん、これの場合、やっぱり太田さんを追い
かけた方がいいような気がするんですよね。と、言って、地図の東の方向を指
さした。
「光直接追いかけんのか……」
普通に考えるとそうだろうな。
田中は思った。
しかし、田中は、この場合は日が過ぎる毎にエリアは狭まっているとはいえ、
太田は一人、しかも徒歩で行動しているので単独ではかなり探しにくいんじゃ
ねえか。と、光を探し始めていた時からそう考えていたのだった。

だからこう、自分の気持ちを長井にこう、切り出す事にした。
68 :BRコミック読み組@まいぺーす
「しかしよ、それは正論なんだけどよ、光のヤツ、今んとこ、一人であっちゃ
うろうろ、こっちゃうろうろしているみたいだから、どこにいるか全く見当も
付かねえし、泰造ん後付けて光と対決した時を狙うっつーのが、一番リスクも
高いけど、一番他の連中よりは目立ってるから探しやすいし楽っつえば楽なん
だよなあ」
「目立つと言えば、太田さんが追いかけているはずの松本さんも目立つと思い
ますけど、そっちはどうでしょうね」
「あっちも悪くねえけど、アレは取り巻き多すぎて別の意味でやべえんじゃね
えのか」
「あー、あっちは確かに取り巻き多すぎてあっちに見つけられたときにキツイ
ですね」
「それと、光追いかけていそうな談志師匠は見つかった時に光いたら光に注意
それていいかもしんねえけど、今回は論外だな」
「そっちもうるさそう」
「つーことで、取りあえず泰造追っかけて追いついたらその後をあいつが光見
つけるまで付けていくしかねえようだな」
「消去法でそう行くしかなさそうですね」
更に田中は、だな。と長井に返事をしてから、黙って長井に頷いた。
72 :Q
>41と同時刻、別の場所で。


藤井の宣戦布告を聞いたのは、当然のことだが、川島だけではなかった。


「!………藤井!?」
突然響き渡った藤井の声に驚き顔を上げたのは、相変わらず途方にくれていたココリコ遠藤だった。
聞き慣れたその声に少し安心したものの、なおも続く藤井の宣告に、目に見えて青ざめる。
「何考えとんねん、アイツ……」
それもそのはず、番組でもプライベートでも仲の良かった遠藤は、普段の藤井をよく知っている。
いつもは温厚だがキレるとどうなるかわからないことを、薄々肌で感じてはいたのだ。

藤井がバカなことをするのをやめさせたい。でも自分にそれができるのか………?
時間までに遊園地に行ってなんとか藤井を説得できれば、あるいはなんとかなるかもしれない。
そう思い、自分の武器を見る。
………………ぬいぐるみ。
「野次馬は容赦なく殺すわよ!命が惜しければ遊園地には近づかないこと!いいわね!」
藤井の最後の一声が聞こえた。
「あかん、ムリや。」
遠藤は結局藤井の説得はあきらめ、再びあてもなく歩き出した…。
74 :Q
>72続きを少し

そして別の場所にも、同じ声を聞いている一人の男がいた。
彼もまた少し立ち止まり、藤井の声を最後まで聞いていた。
「へぇ〜〜、カッコエエやん。でも、ま、今は関係ないかな」
そう呟いて菅はまた歩き出した。次の標的を探して。
75 :シガレットさん@お腹いっぱい。
前スレ>784続き

先ほどから、パラパラと小雨が降ってきた。
時間的に、もう遅い。
これから冷えこむであろうことが、嫌でも予想できた。

そんな夜だった。

山口と宮迫は、大きめの木の下で雨宿りをしていた。
土の上に出ている太い根に、2人が並んでしゃがんでいる。
「うー…寒いっちゅーねん…」
あさっての方向を見つめながら、宮迫は愚痴をこぼした。
山口は「またですか」と、苦笑いをしながら答える。
ここにきて、宮迫の愚痴が増えた。
本人は冷静でいると思っているものの、
島全体に広がるピリピリとした空気に押し殺されないように
気を紛らわしているのだろう。
さっきから、同じようなことを繰り返し愚痴っていた。

山口は、自分の冷えた手を揉んでハァ…と吐息を吹きかけた。
そして問うように呟く。
「今夜は、ここで野宿ですかね…」
木々の隙間から覗く、どんよりとした雨雲を見上げた。
76 :シガレットさん@お腹いっぱい。
>>75

雨足は、さして強くはなかった。
宮迫も、空を見上げたあとに答えた。
「ここよりマシな所があるんやったら行きたいわなー」
「気持ち同じですわ。探しますか」
「せやな。こないな所で寝たら凍え死ぬ…」
宮迫は動かしていた口を、ハッと止めた。

微妙な間。

再び、宮迫は口を開く。
「……すまん…」
「…いえ……」
2人は黙り込んだ。

 『死』

普段だったら冗談のようなこの単語も、
今では冗談ですまされない近さに存在していた。
現に2人それぞれの相方…蛍原と平畠は、既に死んでいる。
殺されたのか、自殺したのか、事故なのか…。
死ぬ間際に立ち会っていないし、あの教室以降姿を見ていなかった。
だが、今はもういないことに変わりはないのである。
何回目かの放送で流れたその名前を、2人は聞き逃していない。
しかし、お互いその事をもう口に出さないことが、暗黙の了解になっていた。

お互い、心にできたキズを突つかないように。

77 :シガレットさん@お腹いっぱい。
>>76

しばらくの沈黙。

「…………行くか」
「…そですね…」
2人は、特に何も言わなかった。
心のモヤモヤした感じは否めないが。
そんな心境のまま山口と宮迫は立ち上がり、荷物を持って歩き出した。

79 :ドス
前スレ793
道無き道をひた走る木村祐一。
裂かれたリュックから中身が落ちない様
しっかりと左腕で抱きかかえ、
右手で邪魔な草木をかきわけながら無我夢中で走り続ける。
白いTシャツは汗でべっとりと肌に張り付き
血が滲み、シャツを赤く染めていた。
右腕からの出血がさっきから止まらない。

木村は痛みを忘れていた。
憧れ、そして親しい存在であった筈の浜田と
殺し合う事になってしまった現実。本当に憎むべき相手は
浜田では無いのに殺意を抱いて斬りかかった事。


80 :ドス
>>79
しかし木村はそれらを後悔などしなかった。
自分の冒した行為を振り返れば途端にこの両足は止まってしまう。
生い茂る草木をかきわけ、前を見る事だけに集中した。
だが、いつの間にか木村の頬には涙が流れていた。
浜田と過ごした日々が、嫌でも頭の中を駆け巡り、心を掻き乱す。

声をあげる事も無く、顔色一つ変えず走る木村。
『兄やん、もう少しやで』涙を拭う木村に少し笑みがこぼれた。



…その後ろをレーザー銃を持った太田が走っていた。

82 :シガレットさん@お腹いっぱい。
>>77続き <ラッキーセブンだっ!!

雨は降っているものの、うまい具合に木の下をすり抜けながら歩いていたので
そんなに濡れていなかった。

山口と宮迫は、ただ歩いていた。

『さっきより雨風を凌げる所』を探す、という目的はあるものの、
それが見つかった後の事は、なにも考えてなかった。

  パァ…ン……

どこか遠くで、銃声が聴こえた。
木々山々に反響して、エコーがかかっている。
山口はピタッと立ち止まり、銃声が鳴ったと思われる方向を向いた。

「…ぐっさん?」

山口の前を歩いていた宮迫だったが、つられて歩みを止め、同じ方向を見る。
今2人が歩いていたところは谷の上だった。
まばらに生えている木も途切れ、周りの景色がよく見渡せる。
見下ろせば、そこにも森が広がっていた。
「また、誰かが殺し合いをしてますわ…」
「…せやな」
ちょうど遮る物の無い位置で立ち止まった為、
雨が、2人の頭上に降りかかった。
「とっとと行かんか?……どーしたん?」

83 :シガレットさん@お腹いっぱい。
>>82

山口は、立ち尽くす。
そして意を決したように、話す。

「…ずっと、考えとったんです」
「なんやねん、改まって」
宮迫は、ポケットに手を突っ込む。
片足に重心を乗せて、楽な体制になった。
山口は、雨で濡れた髪を両手でかき上げてから、答えた。

「自分…死のうかと思ってます」

「…………は?」
宮迫は、相手が言ったことを理解できなかった。
「おまえ何言って…熱でもあるんとちゃうか?」
「雨に打たれとるけど、充分平気です」
「冗談はやめぃ、本気にしてまうから」
宮迫が、山口の肩を叩いて茶化す。
「…本気ですよ」

 チャッ…

いつの間にか山口の手に、ナップサックに入れてあったトカレフが握られていた。

「…ははっ……マジかい………?」
宮迫の額を、雨に紛れて冷や汗が流れた。
86 :未熟者
江戸むらさき野村は木にもたれ掛かって座りこんでいた。
さっき受けた傷がさらに痛みを増した。

どっかの誰かが奇声を上げながらレーザー銃を撃ち回していた。
その流れ弾(?)が野村の左脚を貫いた。
幸い、そのどっかの誰かに野村の存在は気付かれることはなく
その場を必死で離れ、今の場所にいる。

しかし、傷の痛みよりも野村を苦しめるものがあった。

『仲間』

87 :未熟者
>>86

野村はゲーム開始から何度か殺し合いの現場を目撃した。
しかもそれは全て仲間同士の殺し合いだった。

相方を刺し殺す女芸人。

事務所の先輩を撃ち殺す大阪芸人。

仲が良かった後輩をこれでもかと殴り殺す大物芸人。


皆、ついこの間までは笑いを造り合う、仲間だったのに。
何故殺すなんてことが出来るのか・・・。

実際、今の自分に仲間はどんどん減っていた。

幼なじみの相方、磯山。
同じ事務所で仲が良かった号泣の二人。
他にも顔なじみの芸人が次々と・・・・。


みんな仲間と殺し合ったのだろうか・・。
いや、違う!
仲間なんてそんなもんじゃない!!

そう思わずにはいられなかった。
少なくとも俺達はそうじゃなかった

必死でそう思い続けた。


「野村・・?」
聞き慣れた声がした。


88 :未熟者
>>87

ずっと抱え込んでいた頭を上げると
そこには同じ事務所で先輩の坂道コロンブス林が立っていた。

「林さん・・・!」

安堵の表情を浮かべる間もなく目に映ったのは
林の右手にしっかりと握られている銃、
そしてバッグから覗いている血と妙な物が付着した何かだった。

「林さん・・・もしかして・・」

野村の考えていることがそのまま聞こえたかの様に林は喋りだす。
「殺ってもうた・・一人だけな。
 俺かて・・・死にたないんや。死ぬのが怖いねん。
 ・・・・・・怖いんや・・・」


俺は、この人に殺されるかもしれない。
仲間を疑いたくはない、
けれど  それが本当になるのは嫌だ。
この林の状態から言ってそれはほぼ確実のような気がした。

89 :未熟者
>>88

仲間が殺し合う。
そんなことは絶対あってはいけない。


そう思った瞬間
野村は腰に挟んであった自分に与えられた武器
拳銃を心臓にあてた。


(最初からこうすればよかったのか・・・)

いつもの笑顔を浮かべ、
「さようなら、ありがとうございました」


野村は引き金を引いた。





『野村ぁ、こんなのどうかな、今度のオンバトでやってみようよ』
深夜のファミレス,磯山と二人で雑談も交えたネタ作り
お客さんの笑い声
いつしか「ショートコントといえば江戸むら」
そんな風に言われるようになった。


あとで   また  ショートコント  やろうよ  磯山



最後も微笑んだまま
野村は静かに死んだ。
理想の仲間像を残したまま

【 江戸むらさき 野村浩二 死亡 】

90 :未熟者
>>89

林はその一瞬の出来事を理解するのに
しばらく時間がかかった。
あまりにいきなり過ぎた後輩の死。
それも目の前で。

しばらく立ち尽くしたままだった。


91 :シガレットさん@お腹いっぱい。
ごめん、今気付いた。

前スレ>784
 【DonDokoDon山口→トカレフを拾う】

書き方解らんですけど、コレでOKですか?
92 :ドス
一人の名も判らない若手芸人が
疲れきった体を引きずり森の中をさまよっていた。
「はぁはぁ疲れた…誰か…居ないのか?」

その時、目の前に女が立っているのに気が付く。
その顔はとても美しく、その笑みは寂しい心を埋めるには
充分過ぎる魅力を放っていた。
「あっ…あぁ…」
男はまるで花の蜜に誘われる虫の様に引き寄せられる。

女に触れようとした時、
男の首に何かが巻き付いた。
ピアノ線!?と男は思った。
93 :ドス
>>92
女の方へ振り向き、何かを言おうした時
男は驚愕した。
美しいと思っていた肌は、
ペンキで白塗りした様な分厚い化粧…。

「お…お前は…モモコ…?」


その瞬間
男の首は飛んだ。


「見た〜?凄い切れ味やろ!?」リンゴが木の影から笑う。
「あたしの方こそメチャ綺麗やん。」
女優顔負けのメイクでモモコは自慢する。
「アンタの化粧怖いわ。地層出来てんちゃうん!?」
「アンタの髪の毛の方がよっぽど怖いわ。どんだけ切れ味凄いんよ」
アロンアルファで繋ぎとめたリンゴの髪の毛は
仕事人顔負けの武器に仕上がっていた。

二人は屍から戦利品を奪い
森の中へ消えていった。

【ハイヒールリンゴ モモコ 合体】
97 :名無し暇人
雨が降ってきた。
深沢は慌てて大きい樹の下に潜り込む。その時、後方でボソボソと声がした。
「誰だ!」
深沢が刀を鞘から抜こうとする。
そこには、底ぬけAIR-LINEの古坂と小島がいた。
「深沢・・・さん」
その時、ピッ・ピッという小さい音が深沢の耳に聞こえた。
それは古坂が持っているレーダーから発されているものだった。
「お前、それ」
深沢がレーダーを指すと古坂はレーダーを隠す。
古坂と小島は訝しげな顔をして深沢を見ていた。
どうやら、信用されていない様だ・・・深沢は大きなため息をついた。
「いいよ、信用してくれなくても。無理に干渉しないから・・・俺は捜している人いるし」
「東さん、死んじゃったじゃないすか」
「ああ・・・」
「深沢さんが、殺したんですか?」
「まさか!」
しかし古坂と小島の表情は変わらない。
98 :名無し暇人
>>98 続き
「・・・誰、捜してるんですか?」
小島が深沢に聞いた。
「泰造だよ。原田泰造。何処にいるか知らないか?」
古坂と小島は顔を見合わせた。
「捜してどうするんですか。殺すんですか?その刀で」
深沢は黙っていた。
古坂はそっとレーダーを見る。
「・・・ここから数十メートルぐらい先にバス亭があります。そこの裏の畑に居ます。名倉さんも一緒ですよ。」
「そうか、ありがとう」
深沢は振り向かず、後ずさりした。自分は彼等に信用されていないのだ。
振り向いたら殺されるかも知れない・・そのくらいの警戒はしていた。
そして深沢は走り出した。古坂は表情を変えずそれを見送っていた。

『捜してどうするんですか。殺すんですか?その刀で』
あの時の古坂の言葉が深沢の頭に響いている。
(殺す・・・?)
深沢は立ち止まった。
『泰造を止めて。泰造を助けあげて』東の聞いた堀内の遺言。
もうすぐやってくるだろう原田との対決。納得のいく勝利が出来るだろうか?
101 :名無し@参入
>前スレ768〜772の続き

桶田が姿を消し、松丘にはにわかにやる事が無くなってしまった。
かと言って、これ以上ジッとしているのにも耐えられなくなり、
松丘はフラッと散歩に出る事にした。
立ち上がる松丘に不審げな目を向ける村田には、用足しや、と告げておく。

耳をそばだてて、まわりに誰もいない事を確認しながら、松丘はあてもなく歩く。
不安で一杯だったが、ジッと座り込んでいるよりはずっと良い。
……座っとったら腰、痛ぁて堪らへんもんな。
随分前から抱えっぱなしの爆弾を、そっと手でさすって松丘は呟く。
「…………。」
独り言のように洩れたその声に被さるように、微かに声が聞こえたような気がして、
松丘は警戒しながらその場に立ち止まる。
「……つ……か。」
声は再び聞こえた。
「だ、誰やっ!」

「…松丘っ!」
三度目に聞こえた声と共に、松丘の目の前に見慣れた細身の身体が飛び出してきた。
「はや…林か?」
松丘の言葉に、その男は、林は軽く頷いてみせた。
103 :名無し@参入
「…どこ行っとったんや。捜したんやで。」
「スマンな…俺、今な、村田さん…成子坂さんらと一緒に行動しててん。」
どういう事? と訊ね返してくる林に、松丘は今までの経緯をかいつまんで説明した。
勿論、最初に村田らに木に縛られた辺りの話はしっかり編集済みであったが。

「そうや、お前も一緒に来ぉへんか? 俺が話付けたるから。」
きっとあの人達も了承してくれはるって。
ひとしきり話し終わり、松丘は林に告げた。
林はこの一同に対して全く関係ない人間ではない。
互いにある程度の気心も知れているはずである。

しかし。

「いや…俺はええよ。」
林は静かに答えて、首を横に振った。
104 :名無し@参入
「……へ?」
まさかこの提案が断られるとは思っておらず、松丘は思わず間の抜けた問いを洩らした。

「野村がな、目の前で死んでん。」
これは答えになっていないな、と思いつつ林は告げる。
「俺には止められへんかった。あいつは、まだ生きるべきやったのに。」
「…嘘やろ?」
「嘘やない。」
林は、ジッと松丘の顔を見る。
この期に及んでも、まだどうにかなるだろうと言わんばかりの気楽げな表情だった。

「でな、俺…色々考えたんや。」
数秒ほど間を計るように一度口を閉ざしてから、林は続ける。

「もしかしたら…俺らのような奴のせいで、このゲームが行われてしもたんかな…って。」
105 :名無し@参入
芸能界は一般の企業なんかとは違い、明確な定年など存在しない世界。
どんなに世間的に見放されていようとも、本人にやる気さえあれば、
いつまでだってしがみつく事の出来る世界。
それは芸人も一緒。
どんなにライブで笑いが取れなくても、案外何とかなるもので。

林は考え考え言葉を紡ぐ。
「ホンマに面白い奴がおったとしても、本当ならそいつらにやるべき枠を、
 俺らのようなつまらへん奴が塞いどるのが現状や。」
やったらいっその事、全部消し去ってしまえばええ。
「林…お前何を言っとんのかわかってるのか?」
松丘の放った問いは、穏やかながらも決意を帯びた林の視線に封じられる。

「松丘…若草山の山焼き、これはきっとあれと同じや。」
傍目から見れば少々残酷かも知れないが、結果的には必要な儀式。
「せやから…俺は、火が燃える手伝いをしようかと思う。」

その言葉にハッとする間もなく、松丘の首に林の手が掛かった。
107 :BRコミック読み組@まいぺーす
前スレ>760の続きです。
しかし、進行の関係で深沢にそう簡単に追いつかれてたまるか、ということで
>98さんスマソ。

「信じられへんな……」
先に寝袋に入って寝ている原田の方を見て、名倉はいつ斬り殺すか分からない
から離れてくれと原田から言われているにも関わらず、原田が眠る頃を見てそ
の側に近寄っていたのだ。
「全然まともやし、そんな感じせんけどな……」
何であんな事言うんやろ。
名倉は呟いた。
原田の言う、自分が自分では無いという意味があの様子を見た限りだけでは理
解できず、名倉には原田が先に眠る前には全くいつもと変わらないとしか思え
なかったのだ。
109 :BRコミック読み組@まいぺーす
しかし、名倉にはただ1つだけ──気がかりなことがあった。
「あん時だけはちょっとヤバかったけどな」
そう、余りの原田の様子に思わず自分が原田の持っていた妖刀村正をへ
し折ろうとしていた時、妖刀村正を取り返そうと、原田の目の色が変わ
り、自分が刺されかねないとあの一瞬だけは思えたからだったのだ。
「健殺したの、他の連中を殺したのは信じるしかなかへんけど、健殺し
たの絶対お前じゃあらへんよな、誰よりも気に掛けてたんやし、お前じ
ゃ絶対あらへんよな」
普段から原田がどう考えても危なっかしくて同時に忙しい中台本を一生
懸命書こうとする頑張り屋な堀内をかなり気遣っていたのを同じ仲間で
ある名倉はよく分かっていたのだ。
「泰造、絶対それはお前じゃあらへんよな……」
もしそうだったとしても絶対俺はお前殺せへんよ……。
安らかに寝ている原田の様子を見て、名倉は泣きそうになっていたのだ。
110 :BRコミック読み組@まいぺーす
朝になり、原田の目も覚めた。
「潤ちゃん、目え、大丈夫か」
原田は名倉を気遣って言った。
「大丈夫や」
お前もこの2,3日無茶してるみたいやから、お前の方もどうや。
名倉は原田の方を見つめ返してから言った。
「なあ、お前、これから先太田追いかけるんか」
自分の寝袋をたたみながら名倉は言った。
しかし、言葉と裏腹に無茶するなと、名倉の目は言っていた。
「ここまできたらやるしかないでしょう」
原田は自分の寝袋をたたみながら答えた。
「本とに行くんか」
「それだけは譲れないから」
「もし太田倒したら、待ち合わせして今度こそ一緒に先進まへんか」
「勿論その時は」
待っててくれますか。
原田は寝袋をたたむ手を止め、静かに言った。
「そうしたら潤ちゃん、俺は潤ちゃんの側に絶対いるから」
「そうしてくれるやろな、絶対やぞ泰造」
約束だからな、と名倉は二人で食べる朝食を準備しながら原田を見つめ
返した。
113 :BRコミック読み組@まいぺーす
>110の続きです。

「嫌な予感がする……」
名倉と朝食を食べながら原田は呟いた。
何となく自分と名倉以外に人の気配が何となくするのだ。
付けられている。
第六感で感じた原田は早くここから逃げなければと思ったのだ。
「なしたんや泰造」
何にも感じていないであろう名倉は不思議そうな顔をして原田の方をじっと見
た。
「ごめん潤ちゃん、人が来そうな気がするから、ごめん! 」
自分が太田を付けているはずなのに、他の人間から付けられていたのでは本末
転倒だ。
そう思った原田は、名倉を置いてバス停の入り口から出ると、とにかくその気
配が消えるまでジンジャーを飛ばして逃げようと最大速度ギリギリまでジンジ
ャーを飛ばして遠くまで逃げたのだった。
114 :ひまじんだもの。
「ぎゃああーっ!!」
内海桂子のナタが、熊本キリン桐畑の右腕をはねた。右腕は空高く舞い、木の枝にぶらさがった。
桂子の肩には矢が刺さっていた。
「こんな毒矢ごときであたしが殺せると思ったか!」
桂子は肩から矢を抜き、投げ捨てた。
桐畑は新しい矢を抜き、それを左手に持って再び襲い掛かる。
「でやあああっ!!!」
バシュッ!!
桂子は再びナタを振るった。今度は桐畑の左腕がはねられ、それは森に落ちる。
「さあどうする?次は足を使ってくるかい?」
「ち・・・ちくしょう・・・」
桐畑の息が荒くなり、そのまま地面に倒れる。
桂子はナタについた血を拭い、そのまま立ち去った。
「・・・これじゃあ・・・にゃんこできねーじゃねえか・・・」

【熊本キリン桐畑 両腕紛失】
116 :エセ書生
>>前スレ790

木陰の洞穴で目を覚ます。
横には大上がいた。

「おはよう。」
「…おはよう。」
挨拶を返すと大上が優しく微笑み返してきた。
そういえば昨日は何も話さないまま寝てしまったんだっけ。
少し心配そうにオレの方を覗き込む顔を、オレは笑いながらどついた。

「こうしてる間にも、何が起きてるか分からへん。
はやく皆を見つけんとな。」
大上を安心させるように強気に話し掛ける。
「おん。」
「とりあえず森を抜けて…それからやな。」

オレが歩く少し後ろを大上がついてくる。
「ほら、ボヤっとしてたらあかんで。」
一瞬振り返って、また前を見て歩き出す。
大上が苦笑しているのがわかった。

そのとき。

「えー、皆さん、おはようございます。第十回放送ですよー。」
117 :エセ書生
>>116

止まる歩行。
震える体。

今、何て?

ケンドウコバヤシ?けんどうこばやし?
…ケンドーコバヤシ?

「コバ。」
大上が信じられないといった顔で呟く。
オレはその顔を冷静に見ていた。

震える体と対照的に、頭は怖いぐらいに冴えている。
コバヤシが死んだ。

小林は、死んだ。

「松口…。」
大上の不安そうな目がオレの方へ向いた。
オレに何かを手渡す。
ガラスの、長い棒。
ああ、オレの武器や。
握り締めてたつもりだったのに。

ありがとう、といってそれを受け取る。
大上の顔はいっそう不安げになっていた。
118 :エセ書生
>>117

松口は泣かなかった。
剛のときでさえあれほど取り乱していたのに。

小林が死んだことを理解できていないのか?
初めはそう思ったが、そういうわけでもないらしかった。
俺が心配そうな顔をすると、大丈夫やで、といって笑顔まで見せる。
それは安心すべきことなのに、俺はなぜか胸騒ぎがした。
「こうなった以上、本当に早く皆を見つけんとな。」
俺にそう促す。
それ以上は何もできず、俺はまた松口の後を追いかけていった。
119 :エセ書生
>>118

森を抜けると、丘の上に小屋があるのが見えた。
とりあえずそこに向かうことにする。

小屋に着くと、何か生臭いにおいがした。
ゆっくりとドアを開ける。

そこには、おびただしい量の、血。

「ヒッ…。」
後から入ってきた松口が小さく悲鳴をあげる。
大量の血。
転がった懐中電灯。
何か生活感のある部屋が、よけいに恐怖心を駆り立てる。
嫌な予感がする。

小屋には誰も居ない。
しかしこの血の様子からみて、そう時間はたっていないだろう。

ガシャン。

何か割れる音がして、慌てて松口のそばに駆け寄る。
「あかん、ついに割れてもうた…。何回か落としてたからな。
どないしよ。」
松口の手には、真っ二つに割れたガラスの棒があった。

目には見えない、小さく入ったヒビは。
やがてそこから大きくなって、
いつか壊れてしまうのかもしれない。
120 :名無しさん@お腹いっぱい。
>>58続き?


約、2時間程前の話。

夜も明けきって、窓からは暖かい日が照らしこむ。
空は、驚くほど澄んで晴れ上がり、
草むらの上に降り注ぐ日光が、少し湿気た草に
反射して眩しい。
そんな変わりゆく窓の外の景色を、
陣内は、一睡もせず、ただぼんやりと見つめていた。



「・・・そろそろ、行かな・・・な。」


外では、たむらが待っている。
何時間待たせてるのだろう。
約束した、夜明けは、とっくに過ぎている。
普段なら「いつまで待たせるんだ」と怒ってきても
不思議ではない位の大遅刻。
それでも彼が、自分を急かし、呼びに来ないのは
きっと、たむらの優しさなのだろう。
もう、完全に、日が昇っている。

「・・・さ、いこ!」

陣内は、自分に、言い聞かせるかのように
もう一度言うと、よいしょ、と立ち上がった。

121 :名無しさん@お腹いっぱい。
>>120

いつまでも、ここに居る訳にはいかない。
泣いて悔んでしゃがみ込んでいたって、何も始まらない。
前に、進まないと。

陣内は、玄関口に落ちているパンパンになった
ナップザックを拾い上げた。

ぎぃ・・・
金属の錆びた鈍い音をたてて、ドアを開く。
隙間から、きらりと、光が差し込み、
その眩しさに、陣内は一瞬目を細める。
外に、出る一歩手前で陣内は、少し立ち止まり
倉庫内をゆっくりと眺め回した。
たった、4日間だったけど、
ここでは色々な事があった。
もう、ここに戻ってくる事はないだろう。

「・・・いってきます。」
ばたん。
ドアを閉めると、陣内は歩き出した。
122 :名無しさん@お腹いっぱい。
>>121

ふらふらと、頼りない足取りではあったが
一歩づつ、焼却炉に向かい、歩みを進めていく。

陣内は、振り返らなかった。
振り返ったら、もう、自分は
駄目になってしまうような気がした。

「・・・ぅ舎の影、芝生の上、吸い込まれる空〜♪」
陣内は、不意に大好きな尾崎の歌を、歌い始めた。
ちょっと、音は外れていたけど。
「・・・幻とリアルな気持ち感じていた〜♪」
なんだか、少し気が紛れた気がして、
陣内は、歌を続けた。

彼は決して、立ち直った訳ではなかったのだ。
どうにかして立ち直らなければならないと、
ボロボロに削れた心で、必死にもがいていた。

誰も居ない、静かな小さな草原に、
彼の歌声だけが聞こえた。

126 :C
森の中を駆け抜ける二人の男がいる。
いや、男と言うより老人と言ったほうが的確かもしれない。
しかし二人の、実際の年齢を思わせない機敏な動作が、老人という総称を否定している。

と、二人の前方にこれまた二人、小柄な青年が立っているのが見えた。
二人はこちらに気付いてない様子だ。
老人二人は一瞬だけ目を見交わし、また視線を戻した。
永年の付き合いがある彼らの意志の疎通には、たったそれだけで充分らしい。
標的までの距離が縮まってきたところで、二人が同時に叫んだ。
127 :C
>126続き

「「おめでとうございま〜す!!」」

突然、至近距離から聞こえたその声に青年は振り向く。
しかしその動作が終わらないうちに、青年の視界は黒い傘、いや、どす黒い血がべっとりと付いた萌黄色の傘に覆われた。
そしてすぐ強い衝撃。
「よっ………吉田っ!!」
思わず相方の名を叫んだもう一人の青年もまた、同じ凶器によって昏倒してしまった。
老人がくるり、と傘を返す。
竹で出来たその傘の柄は、光を放ちそうなほどに鋭利に削られていた………。


もう一度視線を交わすと、二人は再び走り出した。
次なる獲物を求めて…。
あとには名前もわからないまま殺された、コンビだった青年の亡骸が二体。
老人が最後に一言呟く。
「いつもより多く殺しておりま〜す」
樺色の袖がはたり、とひらめいた。


【ビタミンC 奥本・吉田 死亡】
134 :名無しさん@お腹いっぱい 。
宇治原は菅の姿を追いかけて森を走っていた。
「菅!なんで仲間ばっかり殺すんや!なんでやねん!」
思わず涙声になる。
「殺したいからに決まってるやん。」
不意に後ろから聞こえた声に宇治原は振り返ろうとした。が、それよりも早く



パン


135 :名無しさん@お腹いっぱい 。
>>134の続き

「がはっ・・・!」
銃弾が宇治原の胸を貫通した。
「おもんないくせに正義漢面すんな、クソが。」


パンパン


麒麟・川島がさらに放った銃弾はかろうじて立っていた宇治原の頭を打ち抜いた。
「はははは・・・・・・『ナカマ』?
『ナカマ』一体なんですか?教えてくれよ、君ぃ!」
ピクリとも動かない宇治原の身体に、なおも執拗に撃ちこむ麒麟・川島。
血に染まった胸のハーケンクロイツが、ぬめるような光を放っていた。



【ロザン宇治原・・・死亡】
140 :名無しさん@お腹いっぱい。
・・・そろそろいいかな。

宇治原は起きあがり、川島が通り過ぎるのを待った。
「あいつもおかしなったんか・・・?
あんな川島を止めようとしてる相方がきっとおるはずや・・・
俺も早く菅を見つけんと・・・」

防弾チョッキをさすりながら宇治原がつぶやいた。

【宇治原、死んだふりでした。。。】


146 :名無し@参入
>>101 & 103〜105 の続き

「…なっにすん……!」
叫ぶ松丘の声は、気管が押さえつけられて言葉にはならない。
「驚いたか? まさか俺にこんな事されるとは思ぅてへんかったやろ。」
膝から力が抜けたのか、地面に転がる松丘に覆い被さるようにして
確実に松丘の喉を包む指先に力を込めつつも、林は言って小さく微笑む。
「…………っ!」
林の手を引き剥がそうと松丘は指を掛けるが、簡単に剥がれる物でもない。
しかしもう何秒かで松丘の息が止まる…そのタイミングで林は自ら指を解いた。
真っ赤な顔になってむせ返る松丘。

「安心し、簡単に殺したりはせぇへんから。」
ゆっくりと立ち上がり、林は未だ地面に転がる松丘を眺める。
「せやけど情けないなぁ…。こんな奴に今まで人生預けてたんかと思うとホンマ阿呆らしいわ。」
まぁ、いつだって口ばっかりで、どうしようもない奴やったけど。
口に出さずに続け、林は軽く肩を竦めた。
お陰で随分苦労だけはさせて貰ったな。
147 :名無し@参入
「林……お前そんな事言っとるけど、ホンマに人を殺せるのか?」
…今かて、結局は殺せへんかった癖に。
まだ呼吸がままならないのか、ゼェゼェ言いながら松丘は林に訊ねた。
「…もう殺したで。」
しれっとした口調で林は即座に返答する。
「口で言うた所で信用はして貰えへんと思うけど。確かに、この手で。」
林を見上げる松丘の表情が僅かに固まる。

「まさか、お前誰もまだ殺せてないんか?」
「そ、そんな事あるか! 俺かて……人の一人や二人ぐらい!」
挑発するように告げられた林の言葉に、松丘は慌てて反論する。
実の所松丘には誰も殺せてはいないが、それを白状するにはプライドという物が邪魔をしたらしい。
「やったら、心配する必要は何も無いみたいやな。成子坂のお二人もおる訳やし。」
松丘の言葉を聞いて、林は薄く笑った。
…その程度の嘘ならとっくにお見通しやで。
そんな事を言外に告げるような、いやらしい笑顔だった。
148 :名無し@参入
「……そういう事やから、俺は行くで。」
これ以上顔をあわせるのすら厭になって、林は告げると荷物を担ぎ上げた。
再会した当初はここで松丘を殺しておくのも悪くない…そんな事を林は考えていた。
しかし目の前の松丘の様子に、そんな気分は一切抜けてしまっていた。
林の中に残ったのは哀れみに似た感情のみ。

…こんな奴、殺す価値もない。

「どうせ死ぬんやから、最後ぐらい自分の好き勝手にやらせて貰うわ。」
誰に言うでもなく呟き、林は松丘の方をチラッと見やる。
お前の的外れの提案で、これ以上振り回されたりしないように。
149 :名無し@参入
「ちょ…待て、林っ!」
「……それじゃせいぜい気を付けて。松丘さん。」
林は松丘など最早構う事無く、軽やかな足どりで走り去っていく。
追い掛けようと松丘が地面に手を突いた時、さっきの首締めの後遺症なのか
ぐらっと眩暈を感じてそのまま松丘は再び倒れ込む。

地面と空が逆転して映る松丘の視界の中に、やけに目立つピンク色の物体があった。
手を伸ばして松丘が掴んでみると、それはビニール製の羽根飾り。
かつて林のステージ衣装用に、と松丘が用意してやった物だった。
151 :BRコミック読み組@まいぺーす
>>113の続き。

「置いてかれてもうたわ」
置いてきぼりになった形の名倉は呟いた。
「こんなへんぴな畑んなか、そう簡単に誰か来るわけないやろ……」
街ん中でもあるまいし。
名倉は不機嫌そうな顔をしてまわりを見渡すと──10メートル先に人影が見
えた。
「深沢……? 」
こんなとこ、来るわけないやろ……。
名倉は目をぱちくりさせた。
しかし、明らかに名倉のいるバス停の方向にその陰は近づいてくるのだ。
バス停に来る。
間違いはない。
うーん、深沢は悪いヤツじゃないやろし……。
まだ動くには時間が早いやろし……深沢が来るまで待ってみよか。
結局名倉は深沢が来るまで待つことにした。
152 :BRコミック読み組@まいぺーす
>>68の続き。

「もうそろそろこの辺で降りねえか」
補助席で長井の腰を掴みながらながら田中は言った。
ハーレーに乗り込み、高台から更に東へ約二時間位飛ばした時点で日が暮れて
、もうそろそろ泊まりの準備をしなければと、田中と長井はとあるキャンプ場
の辺りで降りたのだ。
「ログハウスあると便利なんですけどねえ……」
長井は回りを見渡した。
「ねえんじゃねえのか」
田中も周りを見回しながら言った。
「なきゃ困りますよ、野宿なんてしたら、いつ雨が降るか分からないし、まだ
死にたくないんですから」
「あ……あるかもしんねえぞ」
田中の目の前にはキャンプ場の地図が見えた。
「え、どこどこ? 」
長井の言葉に目の前のキャンプ場の地図を田中は指さした。
「行くのは良いけどよ、先着はいねえだろうな……」
最悪誰か襲いかかったら撃ち殺す覚悟しとかねえとな。
小声で田中は呟いた。
153 :BRコミック読み組@まいぺーす
「大丈夫そうですよ。ほら」
長井がログハウスの方を指さすと、まだログハウスの明かりはついていないの
で大丈夫そうだ。
「ならいいんだけどよ、大丈夫かなあ」
「大丈夫っすよ、絶対」
「絶対かよ! 」
「ぎゃはははは!! 」
「つっせーなあ!」
言い合いをしながら二人はログハウスに入ると……。
大分長い間使われてなかったのか、中はホコリだらけだった。
「結構けむいなあ」
「寝るとこ位は床拭いといた方が良さそうじゃねえか」
「そうですね、でないと結構ここ鼻に来ますよ」
最低限度の場所を二人は床拭きし始めて約30分……。
二人して大体の床拭きは終わったようだ。
「これで野宿するよりかはマシだな」
「まあ、これで雨漏りしたら最悪ですけどね、本との野宿するよりかはまだ」
で、後ろでお前が言いかけたの……何だっけか。
そう言って、田中は床に座り込んだ。
154 :BRコミック読み組@まいぺーす
田中は運転しながら長井が言いかけた言葉が気になっていたのだ。
「原田さん追いかける時に……リスクが高いって、何のことですか」
改めて荷物を片づけ終えた長井は田中に同じ内容を聞いた。
「リスクか、そういやお前にまだ説明してなかったな」
何とも言え無さそうな顔で田中は頭をかいた。
「リスク……泰造が持ってる刀そん物(もん)だよ。アレがなきゃどーでもい
いんだがな」
「刀……とは? 」
「村正だよ、村正、アレさえなきゃどーでもいいけど、アレをどーにかしねえ
事には光が危ねえんだよ」
うんざりしたような顔で田中は言った。
「村正……」
聞いたことはあるような……。
長井は思った。
「この手のヤツは光の方が詳しいんだけどよ、今光が側にいねーからなあ……」
本と参ったよ。
付け加えるように田中は言うと、田中が分かる範囲内で肝心の中身の説明をし
始めた。
「ヤツの持っている刀って、柄の辺りをちらっと見たら、村正って書いてあっ
たから多分それだと思うんだけどよ、正確には『妖刀村正』って言って、刀そ
のものに魂が宿っている刀みてえだな」
155 :BRコミック読み組@まいぺーす
はー、刀自体に魂宿っているのか……。
それだけでも曰く付きの刀みたいだな……。
田中の言葉に感心したような顔をして長井は田中の方を見つめ直した。
「魂が宿っているって、どういう事ですか」
「古い物には魂が宿っているって、よく言うだろ、まさにアレがそれじゃねえ
のか」
「アレですか」
納得したような、納得していないような、長井はそんな顔をした。
「まじー事に、一回泰造にあって襲われ掛かったとき、俺は逃げたからいいん
だけどよ、うかつに攻撃仕掛けたらマジ今ここにはいねえわな」
まじめな顔をして田中は言った。
156 :BRコミック読み組@まいぺーす
「何かあったんですか? 」
「あったもクソもねえだろ、マジで死ぬ思いしたんだからな」
「斬りかかってきたんですか」
「おう、しかも大上段で俺を真っ二つにしようとしやがった」
マジであれ、おっかねえよ。
と一度田中は言葉を切った。
そして、今のあいつの状態は、あの刀のせいでヤク中みたいになって、しかも
トチ狂ったまま野の中にほっぽりだされている状態、つーたら、お前にも分か
っだろ。と言葉を続けてから田中は長井の顔を見つめ直した。
まさにそれ。
思い出しただけでもゾッとする。
そう言い終えた田中の顔は──かなり──青ざめていた。







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